皮の内側から光や文字が浮き出す
SFのような未来的技術
自動車に乗りシートベルトを締め忘れると、スピードメーター上の、普段は何も表示されていない部分が警告のため赤く輝いた。こんな経験は誰でもあるだろう。そんな表示が可能なのは、サカイヤが数十年前に開発し特許取得した、金型にフィルムを入れメーターパネルなどを成形する「PSI製法」があるお陰だ。
同社は主にメーターパネルやエアコンパネルなどに使用される、自動車の加飾部品の研究開発・製造を行う。アメリカや中国などに生産拠点を持つグローバル企業だ。もともとはオーディオ機器のレベルメーターをスクリーン印刷する企業だったが、他社に先んじて新規技術を開発し、今日まで順調に成長してきた。そして今回、インサート成形と呼ばれるプリント成形技術を用いた、皮なのに光を通す素材「人工透過皮革」を世に送り出し話題を呼んでいる。
「もともとプラスティック等に透過印刷を施すノウハウの蓄積があり、0.1㎜単位の精密な部品を製造する技術力があったからこそ実現できた」(技術部・ 杉野勝さん)。この透過皮革、まずは自動車のシフトレバーパネルなどでの使用を想定しているが、皮の内側から文字が浮き出すこの未来的技術、家電など他分野への応用も視野に入れる。