武蔵貨物自動車株式会社

総務部求人担当課長の菅原芳郎さん

まだ自動車が珍しかった1943年、川越市で創業した武蔵貨物自動車は、現在では東日本を中心に31カ所の営業所を展開し、731台の車両を運用する物流会社に成長した。

規模拡大の要因は、関東だけでなく東北地方一帯に物流拠点を整備したことや、コンビニエンスストアや書店、学校などに向けた出版物流を手がけたことが大きかった。特に出版物流は、ネットで本を読むことができるようになって「運ぶものや運び方も変化した」（菅原芳郎課長）ことに対応し、DVDや雑貨、雑誌などを詰め合わせて配送できるシステムを採り入れたことで扱いが伸びたという。

現在、力を入れて取り組んでいるのが、物流と保管を一体化した流通加工サービスだ。川越をはじめとする埼玉県内と東北地方の合計10カ所に保管・在庫管理・発送を一貫して管理できる最新設備を整えた倉庫を設置。各地方向けの荷物を倉庫で詰め合わせて発送できるようになったことでコスト削減が可能になった。多様化、高度化、複雑化する流通のニーズに的確に対応することができる総合物流会社の姿を見ることができる。

2016年に青森県八戸で採用されて入社した電算課の博多俊浩さんは、５年間の本社勤務の後、故郷、八戸に戻って勤務することになっている。この配属は入社時から決まっていたことで、なにより博多さんが希望していたのだ。その間、博多さんは会社が借り上げたアパートに住んでいる。家賃は全額、会社負担。博多さんは、初めての土地に不安を抱えて出てきたというが、今は「いい先輩に教えられながら少しずつ勉強して、成長している実感があります」と、充実した生活を送っている。
総務部の菅原課長は、こうしたＵターン人事について「会社にもメリットがある」と断言する。「地元に戻れば、その人のつながりがあります。地方ならではのネットワークを生かせれば競争力がつきますし、新たな顧客開拓につながると思っています」（菅原課長）。地方と川越を人がつなぎ、物流の拡大につながるというわけだ。