「印刷工程の短縮」「環境対策」「コスト削減」を実現したECO印刷技術
商品の梱包や輸送時のケースとしてなど、さまざまな用途で使われる段ボールは、厚さ5㎜ほどの「A段」から、B段、C段、E段……と厚さにより規格が決まっている。
今回KOEDO E-PRO奨励賞を受賞したのは、わずか0.9㎜と極薄の「G段」段ボールに印刷する際の、「工程を短縮し・同時に環境対策、コスト削減を実現」した同社のECO印刷技術だ。
段ボールは普通の紙に比べて厚いため一般の印刷機では印刷できない。通常はまず紙に印刷し、合紙(ごうし)工程で段ボールと貼り合わせて作るのが一般的だ。
同社ではG段の段ボールをそのまま印刷機に入れられるよう、機械自体をカスタマイズしたことで、合紙工程を省いた。
さらに印刷直後に必要な乾燥工程にLED-UVランプを使うことで、従来のUVランプ乾燥で発生していた熱やオゾンを発生することもなく、排熱のためのダクトも不要に。待機時間の消費電力もゼロになり、電気代の大幅な削減につながった。
また、オフセット印刷に使う刷版を有処理版から無処理版に変えることで、印刷機外で行っていた現像処理も省略できた。これにより従来の有処理版印刷での使用済み現像液の処理を産廃業者に頼むこともなくなり、その手間もコストも大幅に削減できた。
「LED-UVランプも無処理版も両方取り入れているパッケージメーカーはまだ少ないと思います。ですが当社はいち早く取り入れることで、製造工程の短縮による電気代やコスト削減はもちろんですが、環境負荷の低減につながります」と代表取締役社長の橘東吾さんはメリットを話す。
- ECO印刷でつくる0.9㎜の極薄段ボールパッケージ