初雁興業株式会社

川越スチューデンツの地元企業訪問17

初雁興業株式会社

川越で120年。土木建築工事業の老舗。

自然環境に配慮した、水を抜かない浚渫(しゅんせつ)工事システムで特許

企業内容:
川越市大字鯨井1705-2
資本金 1億1200万円 従業員114名

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<事業内容>

代表取締役社長 関根勇治さん
代表取締役社長 関根勇治さん

同社の前身である「関根組」が土木建築請負業を創業したのが明治30年(1897年)。以来120年以上、一貫してさまざまな施設や学校などの建築物をはじめ、道路や河川、橋といった土木建築の設計・施工を行い、地域の発展に貢献してきた。
 
近年はさらに自然環境保全事業にも注力している。その代表となるのが、特許も取得している「底(てい)泥(でい)資源化システム」だ。
通常、河川や湖沼は長年の土砂や生活排水の流入によって、汚れた底泥が堆積しているところが多く、一般的な浚渫(しゅんせつ)工事では、河川や池の水を全部抜いて底泥を重機で取り除いている。しかしこの工法は水中の生態系にダメージを与えるだけでなく、コストもかかるといったデメリットがあった。同システムは、「水を抜かずに浚渫工事が行える」というもの。汚れた底泥をポンプでくみ上げ、その場でゴミや水質悪化の原因となる物質を除去し、脱水された土は用土として再利用できる画期的なシステムで、観光地の池や城郭の濠など、全国各地からの依頼が絶えない。

また、雑草が生えにくい地面を作る焼却灰リサイクル砂「アークサンド(k)」も開発、実用化した。除草剤の散布や草刈り作業の手間とコストが省けて、労力の低減化が図れるうえ、ヒートアイランド対策にもつながるという。代表取締役社長の関根勇治さんは「これからも土木建築事業を基軸として、自然環境の回復や生活環境の保全事業にも一層力を入れていきたい」と話す。

<職場の特徴・求める人材>

「何よりも物づくりが好きなこと。そして、やる気のある人がいいですね」と関根さんは言う。新卒の場合、土木建築の施工管理の技術職であっても学科は問わない。ただ技術職は土木施工管理技士等の資格が必要なので、入社後は充実した研修制度を利用して、資格取得を目指していく。現場は男性の仕事と思われがちだが、近年は女性の採用も積極的だ。現在は技術職にも女性がおり、現場監督として活躍している。

  • 川越市内床板工の様子
    川越市内床板工の様子

<若手社員コメント>
土木部
新津和磨さん
2018年入社 工学部土木工学科卒

父も土木建築業の仕事をしていて、私は重機を操縦する父の姿を幼少のころから見て育ちました。気がついたら自分もこの仕事に興味をもっていましたね。現在は川越市内の橋をつくる工事に携わっています。工程を管理・記録するのが仕事ですが、入社して初めての現場なので、わからないことばかり。そのたびに先輩や周りの職人さんに聞きながら、早く一人前になれるように努力しているところです。
 この仕事は、自分が関わった建築物が形として残るのがうれしいですね。その地域だけでなく、たくさんの人が利用するものを作っているというのは、とてもやりがいを感じます。

お話を聞きました

  • 話し手
    代表取締役社長 関根勇治さん
    土木部 新津和磨さん
    聞き手
    東洋大学理工学部3年 高野絋也さん
  • お話を聞きました
Q:新津さんに伺います。この会社を選んだ決め手は何でしたか?
会社見学の時に、私と同じ大学の先輩の社員の方が笑顔で声をかけてくれて、名刺をくれたんです。とても親しみを感じましたし、そんな会社の雰囲気がいいなと思ったことが最終的な決め手になりました。今の現場の所長も同じ大学の先輩なのですが、気持ちの距離が近いというか、とても居心地のよさを感じます。
Q:底泥資源化システムというのは、どんな場所にも使えるんですか? また特許をとっていますが、ほかの企業も使えるのですか?
底泥資源化システムの重機は大小数種類あるので、狭いところや周りに木が茂るなど入りにくいところには小さいサイズのものを使うなど、規模に合わせて使い分けます。このシステムは特許をとっているので、ほかの企業は真似できませんが、現在、協会を通して貸し出すこともあります。
  • インタビューを終えて

    土木建築業だけでなく、池や河川の水をきれいにするシステムや雑草が生えにくい砂を開発するなど環境に配慮した事業も行っていることにびっくりしました。また、社内の雰囲気も明るくて、先輩と気軽に話せるのはいいなと思いました。上司や先輩方の面倒見のよさも感じました。

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